【レビュー】9mm Parabellum Bullet『Revolutionary』-音楽的変化としての”革命”-

【レビュー】9mm Parabellum Bullet『Revolutionary』-音楽的変化としての”革命”-

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過去から脱却した“蜂起”の1枚

あまりに平和が続いて耐えられない
退屈しのぎにそろそろ騒ぎが欲しい
#3『Invitation』より

前作『VAMPIRE』のリリースにより、フェス全盛邦ロックシーンの天下取りに爆音で名乗りを上げた9mm Parabellum Bullet。

そんな彼らが上記『Invitation』の歌詞にも表現されているように、結局自らが“音楽的変化”という“騒ぎ”を起こした結果、それは“革命的”という名を冠したアルバムとして結実した。

あくまでも相対的な話であるが、本アルバムは彼らのこれまでの作品の中で最も“ポップ”な作品と言えるだろう。

単純な音選びとしての“ヘビィ”さは本作品では影を潜めており、彼ら特有の爆発力は維持しつつも爽やかな聴き心地に仕上がっている。

それは、アルバムジャケットにも表現されている。前2作のジャケットが複雑なコラージュで創造された、まさに“カオス”を象徴しているジャケットであったのに対し、本作はモチーフがはっきりとしているのだ。

もちろん単純なモチーフではなく、リスナーの想像力をくすぐる抽象性を備えているが、そこには「光」「闇」「生」「死」などのイメージが伝わってくるように構成されている。

彼らの特徴であり、アイデンティティでもあった“過剰に性急なビート”や“暴力的なノイズ”を放棄し、過去の自らや音楽シーンに対して蜂起するような10曲33分。

菅原:何かを変えるというより、俺たちはやりたいことをやるぜって感じですかね。それを堂々と言うよ、ということです

出典:インタビュー:“異端の刺激物”から“未曾有の王道”へ──9mm Parabellum Bullet、威風堂々のニュー・アルバムが完成! – CDJournal CDJ PUSH

上記の言葉が、本アルバムの全てだろう。

ピックアップフレーズ

ベランダに舞い降りた青いカラス
クチバシにくわえてる悪い報せ
#2『Cold Edge』より

運命は通り雨さ ずぶぬれになるまで
殺し合えばいい 愛し合えばいい
#6『命ノゼンマイ』より

ああ 一人乗りのこのボートに
無理矢理に乗せるから
命よりも重いものは捨ててくれ
#6『光の雨が降る夜に』より

ピックアップ楽曲①『Cold Edge』

はい、私が9mmで一番好きな曲なのだ。

イントロ、リフ、メロディ、展開、ギターソロ、歌詞。どこをとっても完璧にカッコいい。

“緊張感”と“開放感”を行き来する変幻自在のアレンジ。<優しさすら感じる>キャッチーなメロディ。中村文則の小説を彷彿させるような“人間の暗部”を感じる歌詞。その全てがスリリング。

2010年代邦ロックシーンに燦然と輝く名曲と言っていいだろう。

 

ピックアップ楽曲②『Black Market Blues』

邦ロック好きで知らない人っていないんじゃないの?ってくらい超有名曲。

もうこれは“カッコいい”よりも“ダサい”よりのキャッチーさなのではないかと思うほど、耳にこびりついて離れない。

多分9mmがやるからこそ、ギリギリのギリで “カッコいい”方向にゲージが振れているのだ

彼らの入口となった人も多いであろう、魅惑の代表曲だ。

 

ピックアップ楽曲③『The Revolutionary』

アルバム表題曲であり、本アルバムを象徴する楽曲だ

前2作の完成度と圧倒的なライブパフォーマンスによって、邦ロックシーンで確固たる地位を築いた9mm Parabellum Bullet。

その現状に満足しせず、彼らが“次”へ向かうためには本アルバム、および本楽曲が必要だったのだろう

長い夜が明けた 革命の次の日
世界が変わっても
おれはおれのままさ

自分たちが、より自分たちらしくいるために必要だった“変化”。

世界を変えるのさ 変えるのさ
おれたちの思いどおりに

彼らだけが知る“次”の景色を想起させながら、本アルバムは幕を閉じるのだ。

 

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